「歯がグラグラでダメそう。全部綺麗に治したいが、入れ歯は嫌。」
という患者さんです。
重度の歯周病で歯の著しい動揺と排膿が認められました。
グラグラの歯を抜歯し、膿の原因である炎症組織を取り除きました。
黒い部分が歯肉縁下歯石と呼ばれる細菌の塊で、これが原因で膿が出て歯周病が進行してしまったのです。
抜歯すると同時に入れ歯(総義歯)を装着し、とりあえずの見た目と機能を確保しました。
入れ歯で不満がない場合は一旦はこのままでOKですが、入れ歯の致命的な欠点は、使えば使うほど歯茎と骨を消耗してしまうということです。(生物学的代償)
最初は安定していた入れ歯も、歯茎と骨が消耗すると次第に安定を確保するのが難しい症例となってしまいます。
じゃあその時点でインプラントにしたいとなっても、すでに入れ歯の使用で骨が消耗しているため、インプラントも難しいケースとなってしまいます。
こちらの患者さんは最初から入れ歯は嫌との希望がありましたので、治療期間中のみ義歯で我慢していただき、義歯使用による骨の消耗が起きる前にインプラントを埋入しました。
見えているチタンキャップの下にインプラントが埋入されています。
治療期間中はこの上から義歯を使用しました。
インプラントが骨と結合したら、チタンキャップを外し土台(アバットメント)を装着します。
そしてこの上にセラミックの上部構造を装着しました。
これで歯茎や骨を消耗することなく、しっかりと咬むことができます。
上顎の咬む面から見た状態です。
最初はこんな状態でしたが
インプラントを埋入して
その上に上部構造を装着しました。
入れ歯のように偽の歯茎に覆われておらず、味も温度も感じることができます。
下顎も同様に
前歯しか無い状態から
インプラントを埋入して
その上に上部構造を装着しました。
入れ歯のように外れる心配は無くしっかりと咬めますし、メンテナンス時は上部構造を取り外して綺麗に清掃することができます。
治療前→入れ歯→インプラントの見え方の違いです。
入れ歯のようにピンク色の偽の歯茎部分がある方が、歯の縦横比は綺麗に見えます。
一方ピンクの部分が見えると入れ歯っぽくて嫌という患者さんが少なくありません。
本症例のインプラント上部構造は患者さんの希望により、ピンクの部分を最小限にして、大部分を白い歯の部分で仕上げました。
最後に本症例のようなインプラントの本数が多いケースでは、清掃や点検が容易な構造を有することが長期の安定には必要です。
残念ながら現在一般的に行われているインプラント治療の中には、メンテンス性が無視された、非常に不衛生で生体為害性の高い構造が散見されます。
そのよう構造の場合、最初は良くてもやがて慢性的な腐敗臭や排膿などのトラブルが発生し、数年後にはインプラントがダメになってしまいます。
かしば歯科ではそのような時限爆弾のようなインプラント構造がまかり通ることを良しとせず、メンテナンス性の高いインプラント構造の研究に取り組んできました。
本症例にもメンテナンス性の高い構造が採用されています。
どのような構造が良くてどのような構造が悪いかは、インプラントご希望の患者さんには詳しくご説明いたします。
長持ちするインプラント治療を受けたいとお考えの方は、是非一度かしば歯科にご相談いただければと思います。